当初VRは、五感の主要で有る視覚と聴覚を中心に発展しました。我々は新たに触覚や嗅覚による感覚再現を追加する事で、伝達内容が人の感受性に直接作用する事が判っています。これらは、人の生物としての仕組みを理解し、心理、認知、感性にもとづいた五感覚のVRが、言葉の壁を超え感情までを伝達する手段として機能することを示しています。具体的にはロボットのメカトロ制御を応用した再現方法により触覚再現が実現されます。今後これらを含めた機能の全てがネットワークの利用により遠隔伝達出来るようになります。また皮膚感覚に相当するMEMSを利用した超小型リアルタイムセンシングにより、センシング結果に基づいたフィードバック制御が実現します。このようにVRは進化し続けます。
我々はVRを利用し更に安全性と効率的な情報伝達を目指します。人の生物的な感覚再現が感情を左右する仕組みを解明し、その仕組みにより個々の人に合わせた最適化を行い、更に効率的で安全な感情に触れる仕組みを実現していきます。これらの仕組みを具体的に構築する為には、工学的な技術と、人の生物的な仕組みを理解し、医学的な見地で感覚器と脳を通じて感情に作用する仕組みを成立する必要が有ります。その為に医学、生物の知識と工学の知識を融合する事が最も重要です。VRは人の安全を保つ為に、より良いコミュニケーション伝達手段として、また効率的な教育手段として、更に人の気持ちをケアする仕組みとして幅広い分野で活用でき進化を続けます。
著者紹介
大学は工学部機械工学科卒業、電気メーカに入り半導体製造で使用するダイ接合装置及びワイヤー結線装置の制御ハード及びソフトを開発、専門は画像処理技術で13年開発に従事、その後現会社に移籍し新事業をスタート、研究機関の支援業務を5年以上実施。2007年に災害対処訓練シミュレータの開発を経て、安全性を高めるリムを構想しリム基本ソフトを開発。怖さを感じる触覚再現装置を独自開発、それを組み込んだ災害体感機を発表し現在に至る。