132. 第6話、危険感受性を上げる為の災害体感サイクル

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

災害時の体験を通したネガティブな感情を抱く体験プロセスについて考えます。災害を経験するプロセスは、五感により災害の状況を体が捉え、その状況を感じて、その状況より怖いと思うプロセスを考えます。人は災害発生時、五感(外受容)、平衡感覚(自己受容)の全ての感覚器官を通じて災害状況を体で感じ取ります。感覚器で捉えた情報は、感覚神経を通じ脳へと伝達され処理されます。神経系と血流を通じて体の各臓器へと伝わり内臓感覚(内受容)により判断し感じたりします。人は感覚器を通じて読み取った情報を瞬時に過去の体験と照合し、危険を察知・判断できる様に準備を開始し判断します。旧脳と呼ばれる獣的な判断により自動的に情動が発生します。この段階で危険と判定された場合には、逃走反応が生じ、生命を守る行動に推移します。

この逃走反応は、瞬時に戦うか、逃げるか、畏怖の状態の何れかを判断し実行される反応です。この逃走反応と並行し体では感情を発生させるプロセスが進行します。ゆっくりと感じ取った体感に対する感情が徐々に発生します。体の各器官に伝わった体感情報より各器官が総合判定によって怖いと思う感情が生まれ感じるようになります。この怖いと思うまでには、ネガティブな体感から一般的に2秒~20秒の時間を必要とします。このように怖いと思う感情が現われ人が認知され迄にはかなりの時間が必要です。怖いと言う感覚を得るプロセスは、体の各器官へ神経系を通じて高速伝達する系とホルモン分泌により血管を通じホルモンを伝達する低速伝達の二系統により体の各器官に伝達し総合的な感情を発生し最終的に脳が認知します。これらは非常に高度なプロセスを経て総合判定された状態です。合わせて体感時の恐怖の度合い大きい場合には経験した体感内容と状況が捉えられた結果と共に体に情報として記録されます。非常に強い恐怖(生命の危機と感じ死をイメージした場合)を伴った場合、人にとっては良い事態では無いですが心的障害として記録されるケースも有ります。これらの経験は、生命を脅かす経験として体に記憶され、後の生命サイクルを有効に働かせる重要な情報として後世に引き継がれ仕組みの様です。我々が開発している災害体感による危険感受性向上の為に体感ソフトウエアは、これらのプロセスを考慮して心的障害を引き起こさない様に体感プロセスに生物的な危険限界を設け、体感時のダメージを考慮し設計する必要が有ります。人の生物的な仕組みを理解した上で感情に触れつつ心的障害を起こさないよう常に最大限に配慮する必要があります。