129. 第4話、危険感受性を維持する体感サイクル

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災害に対する危険感受性は、災害発生から大きく日数が経過すると失われる事が確認されてます。このことは、企業が社会活動を継続する上で障害になります。企業の職場、製造工場、製造プラント、様々な社会活動の現場での危険感受性の低下は大きな社会問題です。労働災害に対応し企業は、働く人員に対し定期的に安全教育を実施してます。今までの安全教育は過去の災害事例を用いた座学学習が中心で集合教育が現状です。座学中心の教育は、教育の質が高い半面、受講者を教育に集中し続ける事が難しい事が最大の課題になってます。近年簡易的な機械で災害を疑似体感する安全教育が登場しましたが、災害のバリエーションを増やす事が難しいのと同時に、体感を模擬する仕組みが人に覚えられてしまい、2回目以降の教育で教育効果を出す事は難しい事が指摘されてます。これに対しVRを利用した災害体感は、職場環境の種類と災害発生の種類とを組み合わせる事によりバリエーションを増やす事が比較的容易になっています。従って豊富な災害バリエーションを切り替えながら半年から1年周期で何度も繰り返し利用し災害時の怖さを伝える事が出来ます。

ただ見る、聞くに限った災害の疑似体感では全て人に対して怖さが伝わらない事も判明しており、触覚を含めた五感を含めた体感する仕組みと災害を他人事にしない教育の仕組みが必要です。その為に体感者の職場環境に合わせた体感とする事、体感者の職場で実際に起こり得る災害を再現する仕組みとを組合わせて安全教育を実現します。災害の主感覚となる触覚を含めた災害体感は、怖さを効果的に伝える事が確認されてます。体に感じる触覚は、再現する感覚が多く、触れる感覚、痛さを伴う感覚、力を伴う圧迫、引っ張り感等が有り、再現する種類は多くなります。また、再現する感覚は災害毎に再現する感覚を最適化する必要が有り感覚を適正に選ばなければなりません。装置を用いたこれらの疑似再現は、災害の種別に応じて再現ユニットを複数準備する必要が有ります。これらの体に感じる体感により災害体感時の怖さが伝わり危険感受性を上げる事が出来ます。但し人の特性上、時間の経過と共に人の危険感受性は徐々に下がってくることが判明してます。これは人の精神面を含めた生命維持する為に備わっている忘却機能です。従って記憶や感受性が徐々に失われる事を前提に、人の特性に合わせて対応すべきです。感受性は、半年~1年の歳月が経過すると顕著に低下するのが一般的で、低下が進むと感受性がほぼ失われ災害発生のリスクは再び増大してしまいます。故に危険感受性が失われて危険領域に入る前に、再度災害体感をVRで実施する事で危険感受性を維持する様にします。このように一定期間を空けて繰返す事により危険感受性の低下を防ぐ事が出来ます。合わせて、災害ケーススタディーや機械式体感機による実際の災害体感(潰される、破損などの物理現象を目視でみる)等を併用し、安全意識自体の底上げ教育を実施する事が重要です。