125. 安全は知識融合が必要「第6話:人の安全を考える」

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人の生物的な仕組みより人の安全について考えます。先ず人が事象を体験する過程にそって考えます。今回は心の安全を中心に考えるので、心の障害として影響力を持っているネガティブな体感を通じ考えます。ネガティブな感覚とは、恐れや悲しみを感じる感覚です。合わせて気もち悪い嫌な感覚も含まれます。ここでは気持ち悪い感覚については方向性が異なるので一旦除外して考えます。人の感情を心理的な面より主観的に評価する指標を考えます。心理的な感情の主観評価は、Self-Assessment  Manikin評価に従い誘発性(嬉しい、恐ろしい)、覚醒度(興奮、くつろぐ)、支配性(重要、重要でない)を用います。災害体感等で再現する、覚醒度が高く、負の誘発性を含んでいる“怖れ”を中心に考えます。

 次に人の感情を客観的に考えます。人は事象を体感すると、5感覚(外受容)、平衡感覚(自己受容)、内臓感覚(内受容)などの全身感覚で刺激を受けます。刺激を受けると体内では、恒常性反応が発生し同時に自律神経系へ情報が伝達されます。恒常性反応は、獣的な反応で自動的に体内照合し危険な状態か瞬時に判定します。刺激信号は、神経系と血管を通じて体の各所に伝達されます。体感時の刺激により生成されたホルモンにより伝わるパスと、電気的信号により神経を通じて伝達する2つのパスが同時に働きます。電気的な伝達は、自律神経系の交感神経と副交感神経により伝わり覚醒状態が判定されます。ここではDr. Stephen Porges氏のPolyvagal Theory多重迷走神経理論に従って感情が評価されると考えます。多重的に恐れの感情が伝わりその後数秒の時間を隔てて心が感じとれるようになると考えています。大切なポイントは、体感し恒常的な反応は瞬時に判定されますが、心が感じられるようになるまでは、2~20秒の時間がかかる点です。ジワジワと後から怖い思いをするケースは、血流によりホルモンが運ばれじっくりと感情が伝わる状態を表していると思われます。人の感情を左右する感覚は、触覚を含んだ体に感じる感覚が主体で有る事が判ってきています。我々は、各感覚の組み合わせと刺激量の増減で怖さの度合いが変わると考えます。人のこころを守る為に、与える刺激量を適切に調整し、心の安全を確保する事も安全の大切なテーマです。我々はこれらの仕組みを解明したいと考えています。このように人の安全を考える上で、Polyvagal Theory多重迷走神経理論に注目しています。地球の安全を考える上で、シュレディンガー理論と、超弦理論に注目しています。