災害発生時の燃えた匂いを再現する調査を2008年に開始しました。調査を進めると欧州を中心に商品化が進んだ香水技術を応用した匂い発生装置が商品化されている事を確認します。再現する匂いは、人が好む香りで食べ物の良い香りと空間で人が好む香りが再現されています。調査地域を広げ欧州と北米で匂いの素をリサーチ活動を進めます。匂いの素を調合生成する会社に、災害時に発生する燃えた匂いを再現できないか依頼すると人が好まないネガティブに感じる匂いは、ニーズが無いため開発を行った事績が無いまた開発できるか未知数との回答をもらい商品化を一旦諦めます。2018年に気体の漏れを再現するニーズが上がります。命を脅かす様な危険な気体は人工的に匂いを付加され匂いの素が存在する事実と合わせて、匂いを再現するユニットの開発を実行します。既に商用施設で利用されている購買意欲を掻き立てる匂い発生ユニットは据え置き型で利用出来ない為、自社でのユニット開発を決断します。VRで利用する場合の課題は、匂いを発生させた後に、匂いを消す消臭機能が重要になります。匂いを出したり消すユニットの実現が求められます。
ユニットの開発には二つの案が持ち上がりました。匂いを再現する空間を限定した閉鎖空間(マスク型)で実行するか、解放空間で実現するかです。訓練シミュレーションや、災害体感等での利用を考えると自然な形で没入性を重視し解放空間でのユニット化を目指します。匂いの素は香水と同じ原理でアルコールの揮発効果を利用します。匂いの素をアルコールと混ぜ、匂いの素を空間へ解放し大気中に拡散し匂いを発生させます。匂いを消し去る方法は、消臭液を同じ空間に放出し匂いの粒子を消臭効果のある液体で抑える方法があります。もう一つの案は、匂いの素を可能な限り微量で人が感じる最小限の量を放出する方法です。放出後は匂いの粒子を大気中に拡散する方法で粒子を分散し匂いを減らす方法です。どちらの案にも対応できるユニットの開発を行います。まず匂いの粒子を閉じ込める3つのシリンダー、シリンダー内の匂い粒子を放出制御する解放弁を備えたユニット。再現ユニットは小型で軽量にすることにより、鼻元近くに設置できます。軽量化を実現する為に解放弁の制御はエアーシリンダーによる駆動としました。これにより装置を小型で軽量にすることが可能となり、VRゴーグル下部に据え付ける方式で実現しました。匂いの素となる成分を生成し3つのシリンダー内に収めれば匂いの制御が可能です。また一つのシリンダー内に匂いを消す成分を充填すれば、積極的に匂いを消し去る制御も可能です。