過去に乗り物の運転を仮想体感する為に、様々な訓練シミュレーター開発してきましたが、2018年に珍しい仮想再現の依頼が有りました。それは車両が接近し人を通り過ぎる際に発生する風を再現して欲しいと言う依頼です。鉄道関連業務に関する依頼でしたが設備のメンテナンス時に、車両が人に接近し退避を促す為に、衝撃風で物が飛散する怖さを体感させたいとの依頼でした。既に床が上下動作し平衡感覚を再現した動揺装置(blog304話参照)は、高圧エアーを利用した風圧再現機能を実装済みでした。これを基に車両が接近時に車両近傍で起こる衝撃風の再現と車両通過後に発生する巻き込みによるマイナス風の再現を試みます。
風を再現するユニットは、実績の有る高圧エアーのブローにより実現します。15秒間の風を再現する為に大量のエアーが必要になります。15秒以上のエアーブローを実現する為に25リッターのエアータンクを75リッターまで増やします。体に対し全周囲からの風圧を再現する為に3方向にエアーノズルを設置する事にしました。車両が接近する際の前方からの風は、微風、弱風、強風を再現する3種のノズルを前方に設置し、流量調整により3種の風を実現します。車両が接近時に作り出す衝撃風の再現は、前方からの3強度の風で再現します。車両が通過後に発生する巻き込み風とマイナス風は、横方向と後方に設置したエアーノズルで再現します。車両が接近するVRイメージに合わせて風を3方向より再現し衝撃風と巻き込み風によるマイナス風を作り出し再現しました。説明したブロー型の風圧装置を利用した車両接近時の衝撃風体感装置が2018年に実現し、メンテナンス作業員の安全を守るため運用して頂いてます。