408. 五感を通じて心に直接触れるアプローチ

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人と地球の安全安心を成立する為に歩んできたプロセスを紹介します。最初のアプローチはVRの可視化を用いて人の作業場の安全性を高める訓練シミュレーターの実現を目指します。研究開発を始めた2001年にVRを利用するコストは非常に高額でした。VRハードウエアは高額であり、それを駆動するソフトウエアは普及していませんでした。独自にVRソフトを開発する能力は有りましたが、VRソフトのコストが大きな障害になりVRを継続利用するニーズが不足し、VRを事業として継続する事が難しい状況にも遭遇していました。その際にVRの高額コストに見合った適用アプリケーションは何かを考えます。人の命に係わる分野で、人の安全性を高める手段としてVRを利用する事を考えます。VRで危険な事象を再現したり、実空間ではコストがかかり実現できない事象を再現する事にVR利用の価値を見出してきました。VRの適用分野の開発を進めるとVRを利用する集中力の維持、集中力を落とさず自然で直感的な操作性の実現、VR空間に留まり続けられる没入感とVR酔いを起こさない疲れない仕組み、人の感情を左右する表現等の課題が次々と見つかります。これらの課題一つ一つを解決する事でVRを有効な手段として利用できるようになります。我々はVR空間で災害事象を再現し、人が関わる操作で災害が発生する仕組みの実現を目指してソフトウエア開発ツールの開発を2012年に始めます。

社会の要望に沿って災害時のネガティブな体感のシナリオ開発を進めると更に様々な障害が見つかります。体感効果を上げ、ネガティブな感情を人に感じさせるためには、視覚と聴覚だけでは実現できないことを知り、平衡感覚、触圧覚、痛覚、力覚、嗅覚のユニット開発を行います。さらに人に効果的にネガティブ感情を発生させるためには、五感を通じた刺激を適切に制御し体感させることの重要性に気が付きます。ネガティブな感覚刺激を適切に制御する事で心的障害の発生を防ぐ事を最重要視して研究開発を行います。これらの方針のもとネガティブ刺激の適切解を実験的に導き出しながら危険感受性を向上させる手段の実現を、特定の組織と協力し人の安全性を確保する為に限定した利用範囲で研究開発を行い製品化しました。今後五感を通じたネガティブな刺激を利用し人のモチベーションを高める手段を実現する為に生物化学を利用した研究開発を行っています。